NTT(日本電信電話株式会社)は、日本最大級の通信企業であり、東証プライム上場の超大型銘柄です。
固定電話時代からモバイル通信、そして現在のクラウド・AI・光通信インフラに至るまで、日本の通信を支えてきた“通信の巨人”として知られています。
しかし、単なるインフラ企業として捉えるのは、今のNTTを見誤るかもしれません。
今、NTTは大きな変革の中にあり、その戦略は中長期的に大きなリターンを生み出す可能性を秘めています。
■ 株式分割と個人投資家への開放
2023年には株式を1株→25株に分割し、大きな話題となりました。
以前の1単元(100株)は数十万円単位でしたが、分割後は数千円からでも購入可能に。
これにより個人投資家への門戸が一気に広がり、「お堅いディフェンシブ銘柄」という印象が薄れつつあります。
実際、株主数は大きく増加し、株価も底堅い推移を見せています。
NTT株は、長期保有による安定収益を求める個人にとって非常に魅力的な選択肢のひとつになりました。
■ 高配当・安定収益のディフェンシブ銘柄
NTTはその巨大な通信インフラを背景に、毎年安定した利益と配当を出すことでも有名です。
特にドコモの完全子会社化以降、グループとしてのシナジーがさらに強化され、業績の安定感はより盤石になっています。
- 配当利回りは3%台(2025年現在)と魅力的で、
- 配当性向も40%以上を維持
- 株主還元に積極的な姿勢を持ち続けている点も評価できます。
リスク回避局面でも買われやすい“守りの株”として、ポートフォリオに組み込む投資家が増えています。
■ 通信×先端技術「IOWN構想」への挑戦
NTTが単なるインフラ企業で終わらないと感じさせるのが、「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」です。
これは、光を中心とした次世代通信基盤を構築する国家レベルの超大型プロジェクトです。
IOWNは、従来の通信インフラと比較して大幅に低遅延・低消費電力・高帯域を実現することを目的としており、今後のスマートシティ・自動運転・メタバース・生成AIといったデジタル社会の根幹を支える可能性があります。
NTTはこの技術の中心に立つ存在として、“第2の成長フェーズ”に突入していると言っても過言ではありません。
■ 株価の見通しと今後の注目点
現在のNTT株は、過度なバリュエーションの高さもなく、安定した業績+将来性を踏まえると、バランスの良い投資先と評価できます。
とはいえ、通信業界特有の規制や価格競争の影響を受けやすいという側面もあり、短期的には材料不足の局面も。
一方で、以下のようなニュースが出れば再評価される可能性は高いです:
- IOWN構想の進展や実用化発表
- 海外展開(特にアジア市場)でのM&Aや提携
- 配当増加や自社株買いといった株主還元強化
■ まとめ:NTTは“眠れる成長株”か?
NTTは「安定・配当・低リスク」といった特性から、保守的な投資先として見られがちです。
しかし、IOWNやグローバル展開を含めた成長戦略を冷静に見れば、**単なる高配当銘柄ではなく、“次の社会インフラを創る主役”**としての側面も持ち合わせています。
中長期的な視野で見れば、**リスクは限定的、リターンは意外と大きいかもしれない――。**それが、今のNTT株を語る上で最も重要な視点ではないでしょうか。
コメント